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2025.10.31

開発コラム

濁りを付与して果汁感を演出!乳化香料「KCクラウディSG」の活用法

「果汁原料を入れても透明感が出てしまい、果汁入りの印象にならない」
「もっと濃厚な見た目にしたいが、どうすればいいか分からない」

こんな悩みを抱えていませんか?

食品開発において、見た目の「濁り」は“果汁感”や“濃厚感”を演出する重要な要素です。

近年の気候変動や国際情勢の影響により、果汁価格が高騰しています。コストダウンのために果汁含有率を下げる場合や、果汁を使用しない食品でも「果汁感」や「濃厚感」を視覚的に表現したいというニーズは高まっています。

こうした課題を受け、弊社ではエチルマルトールを含む油脂を乳化したKCクラウディ SG」を開発しました。

少量添加で効果的に濁りを付与でき、着色料との併用により商品コンセプトに合うイメージを実現します。

なぜ「濁り」が果汁感を高めるのか?

人は、食品を口にする前に「見た目」から情報を得ています。視覚情報は味覚や嗅覚よりも先に脳に届き、食品の印象を大きく左右することが知られています※1

「濁り」は、果汁本来の外観特性の一つです。そのため、濁りのある食品は、透明な食品と比較して果汁含有量が多い印象を与えやすい傾向があります。

※1 (参考文献)岡嶋克典「視覚情報によって誘発されるクロスモーダル効果」映像情報メディア学会誌, Vol.72, No.1, 2018

 

 

「KCクラウディ SG」とは?製品特長を解説

製品情報

「KCクラウディ SG」は、油脂を乳化して水に分散させることで濁りを付与しています。また、エチルマルトールを含むため、甘い芳香臭を持つ乳化香料製剤になります。

製品名 一般名 性状 食品への表示例
KCクラウディ SG エチルマルトール製剤 液体 香料 または エチルマルトール


KCクラウディ SG(左:0.05%添加、右:0.2%添加)

少量添加で濁りを付与できます

「KCクラウディ SG」は、0.02~0.05%の少量添加でも濁りを付与することができます。

添加量を増やすことで濁度をコントロールでき、商品イメージに合わせて濁りの調整が可能です。

添加量 濁度の目安
0.02% 低濁度
0.05~0.1% 中濁度
0.2%~ 高濁度(白濁)

初めてご検討される際は、0.05~0.1%の添加量を推奨いたします。

高い乳化安定性を有します

下記の安定性試験結果より、加熱殺菌工程のある製品や、長期保存が求められる製品にも安心してご使用いただけます。

【安定性条件】85℃30分加熱後、40℃で遮光3か月保管
【溶媒条件】糖度Brix10、Brix30のpH3.0緩衝液

濁度を維持しており、分離や沈殿もありません。

※記載の試験結果は、あくまで当社内で実施した検証結果に基づくものです。
ご採用にあたっては、 貴社にて十分な検証・評価を実施いただきますようお願い申し上げます。

濁り調整で知っておくべきポイント ―糖度による見え方の違い―

「KCクラウディ SG」は、光の散乱によって濁りを表現しています。

そのため、高い糖度の条件では、「KCクラウディ SG」と屈折率の差が小さくなるため、光の散乱が弱まり濁りが薄く感じられる場合がございます。ご希望の濁りに合わせて、添加量を調整いただきますようお願いいたします。

 

食品への使用例 -着色料との組み合わせで多彩な果汁イメージを実現-

 

特に水溶性着色料と併用することで、様々な果実イメージを表現できます。

食品への使用例

・ゼリー(pH3.8)

「KCクラウディ SG」の添加量:0.1%

味イメージ レモン マスカット メロン
無着色 KCイエロー№3A:0.005%
(ベニバナ黄色素)
KCグリーン CL-20:0.01%
(ベニバナ黄色素、クチナシ青色素)
KCグリーン CL-20:0.03%
(ベニバナ黄色素、クチナシ青色素)
リンゴ 白桃 桜・いちご 桜・いちご
KCイエロー №3A:0.005%
(ベニバナ黄色素)
KCレッド ZL-18:0.001%
(パープルキャロット色素)
KCイエロー №3A:0.005%
(ベニバナ黄色素)

KCレッド ZL-18:0.002%
(パープルキャロット色素)
KCレッド ZL-18:0.01%
(パープルキャロット色素)

KCイエロー№3A:0.002%
(ベニバナ黄色素)
KCレッド ZL-18:0.01%
(パープルキャロット色素)

 

・フルーツソース(pH3.0)

「KCクラウディ SG」の添加量0.1%で適度な濁りを付与し、果汁感を演出できます。

「KCクラウディ SG」の添加量:0.1%

味イメージ いちご ぶどう
無着色 KCレッド EL-2:0.1%
(エルダーベリー色素)
KCレッド ZL-18:0.01%
(パープルキャロット色素)
KCブルー KB-6S:0.01%
(クチナシ青色素)

 

・フレーバーシロップ(5倍希釈/シロップ条件:pH3.5、Brix40)

「KCクラウディ SG」の添加量:0.6%

ゆず・レモン いちご マスカット 白桃・リンゴ
KCイエロー№3A:0.05%
(ベニバナ黄色素)
KCレッド EL-2:1%
(エルダーベリー色素)
KCグリーン CL-20:0.1%
(ベニバナ黄色素、クチナシ青色素)
KCイエロー №3A:0.05%
(ベニバナ黄色素)

KCレッド ZL-18:0.01%
(パープルキャロット色素)

※添加量はシロップに対する割合です。掲載の写真は、水で5倍に希釈したものを撮影しております。

 

▶「KCクラウディSG」の製品情報とアプリケーション資料はこちらよりご覧いただけます。

KCクラウディ SGの製品紹介 資料ダウンロード

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 添加量はどのくらいが適切ですか?

A.用途や目標とする濁度により異なりますが、一般的には0.02~0.2%の範囲を推奨いたします。

高い糖度(Brix)の食品へ添加した際は、濁度が薄く感じられる場合もございますので、添加量を調整いただきますようお願いいたします。

フレーバーシロップのような希釈して使用する製品の場合は、希釈後の濁度に合わせて添加量を調整してください。

Q2. どのような食品に使用できますか?

A.主にソースやゼリー、濃縮タイプのシロップなど水分を含む食品にご使用いただけます。

Q3. 食品表示はどうなりますか?

A. 「香料」もしくは「エチルマルトール」と表記ができます。

Q4. どのような着色料と相性が良いですか?

A.「水溶性着色料」との相性が特に良好です。

水溶性着色料と併用することで、水溶性着色料のみでは表現することが難しかった濁りのある色合いを表現することが可能です。

 

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