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2025.04.02

開発コラム

味への影響が少ない!グルコノデルタラクトンの特性と活用例

食品メーカーさまにとって、製品の品質を保ちながら、味への影響を最小限に抑えた原料選びは、製品開発や改良の重要なポイントです。

そのようなニーズに応える原料の一つが、「グルコノデルタラクトン(GDL)」です。
グルコノデルタラクトンは、天然由来の成分から構成され、風味への影響が少なく、pHを穏やかに調整する特性を持つ食品添加物です。豆腐やチーズの凝固剤として知られる一方で、パン、菓子、飲料、魚肉・畜肉加工品など幅広い食品に使用されています。

本記事では、グルコノデルタラクトンの基本的な性質から、具体的な用途例、さらには社内での官能評価データを交えながら、食品メーカーさまにとっての導入メリットをわかりやすく解説します。「味を変えずにpHを調整したい」「豆腐やチーズをなめらかな舌触りにしたい」というお悩みの方におすすめです。

目次

グルコノデルタラクトンの特性
他の酸味料との比較
▶グルコノデルタラクトンの用途
凝固剤として-豆腐・チーズ
膨張剤の酸源として-製パン・製菓
酸味の付与のために-飲料・冷菓
保存性の向上のために-畜肉練り製品・水産練り製品
金属封鎖のために-製麺・醸造
ビフィズス菌の増殖のために-調味料・漬物
使用基準と食品への表示例
弊社商品のご紹介

グルコノデルタラクトンの特性


グルコノデルタラクトンは水に溶解すると徐々にグルコン酸に変化するという特性があります。
この特性によって他の有機酸と異なり、添加後すぐにpHが下がらず、ゆっくりとpHを下げることが可能です。


図は各濃度のグルコノデルタラクトンの水溶解後のpHの推移です。
1%濃度の場合、溶解直後のpHは3.5程度ですが、徐々に低下して2時間後にはpH2.7程度となって安定します。

グルコノデルタラクトンは1ℓの水(20℃)に対して590g溶解させることができます。

他の酸味料との比較

弊社では、グルコノデルタラクトン(GDL)を水に溶かして生成される「グルコン酸」について、代表的な酸味料である酢酸およびクエン酸との官能評価を実施しました。

それぞれの酸味料を「同程度の酸味度」に調整し、酸味の強さ・持続性・後味・刺激性・苦味・不快感といった項目で比較したところ、グルコン酸は以下のような特長を示しました。

酢酸・クエン酸と比較して、
・酸味の強さが小さい
・味の持続時間が短く、後味に残りにくい
・刺激感や苦味、不快感が少なく、食品の風味を損ねにくい

この結果から、グルコン酸は食品へ使用した際に、他の酸味料と比べて味への影響を最小限に抑えることができると考えられます。とくに「まろやかな酸味」や「味へ影響を与えずにpHを下げたい」が求められる食品において、他の酸味料の代替としても有効です。

グルコノデルタラクトンの用途

凝固剤として-豆腐・チーズ
豆腐は液状の豆乳から作られますが、その製法には大きく2通りあります。
① 『にがり』による製法
にがりに含まれる正電荷のカルシウムやマグネシウムイオンが豆乳中に分散している負電荷の大豆タンパク質と結合して架橋を形成し、ゲル状となって固形の豆腐を形成します。
② 『酸』による製法
負電荷を帯びた大豆タンパク質が粒子間で反発しあい分散している豆乳に酸を加えてpHを下げていくと、やがてその電荷がゼロになり、粒子間の反発力がなくなります(等電点)。
その際、液中に分散していた大豆タンパク質どうしが集まって沈殿し、固形の豆腐を形成します。

グルコノデルタラクトンは②の製法において、おだやかなpH低下を招くため、弾力があってきめの細かい豆腐に仕上げることができます。
この原理によって、乳を原料としてカッテージチーズの製造にも使用されています。

膨張剤の酸源として-製パン・製菓
グルコノデルタラクトンからグルコン酸への変化は低温よりも高温で起こりやすいです。
よって、膨張剤中での炭酸水素ナトリウム(重曹)との反応によるガス発生は、パンや菓子の焼成工程中で徐々に進み、気泡の形成が均質で舌触りの良い製品に仕上がります。
従来、ベーキングパウダーには硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)が酸源として利用されてきましたが、使用基準の変更により、グルコノデルタラクトンへの代替が進んでいます。

酸味の付与のために-飲料・冷菓
他の有機酸と比べ、渋味や苦味が少なく、おだやかでまるみのある独特の酸味であるため、この呈味を活かし、飲料やデザートに使用されています。

品目 酸味度 酸味の特徴
グルコン酸 29-35 おだやかで爽快な酸味
まるみのある柔らかな酸味
リンゴ酸 128-137 爽快な酸味
酢酸 115-139 刺激的臭気のある酸味
乳酸 91-96 渋みのある温和な酸味
クエン酸 100(基準) おだやかで爽快な酸味

保存性の向上のために-畜肉練り製品・水産練り製品
肉色の安定化のためや静菌性の向上のためにはpH低下が有効です。
グルコノデルタラクトンをpH調整剤として使用することで、他の有機酸に起こりやすい局所的な酸凝固を防ぎ、肉質に影響少なくpH低下が可能になります。
また、ソルビン酸など低pHで効果の高い保存料と併用して使用されることがあります。

金属封鎖のために-製麺・醸造
グルコノデルタラクトンはキレート作用があり、金属イオン封鎖の働きがあります。
カルシウム・マグネシウム・鉄イオンなどの除去によって、製麺時の麺質の向上のために使用されています。
また、ミルク工場の乳石や醸造工場でのビール石の生成防止のためにも使用されます。

ビフィズス菌の増殖のために-調味料・漬物
整腸作用や、病原菌の感染・腐敗物を生成する菌の増殖を抑えると考えられているビフィズス菌を増殖させる作用があると言われており、ビフィズス菌の高含有食品にも使用されています。

使用基準と食品への表示例

・使用基準
使用できる食品種や添加量の基準は定められていません。

・表示例
一括名表示の場合 : 「酸味料」「pH調整剤」「膨張剤」「豆腐用凝固剤」
物質名表示の場合 : 「グルコノデルタラクトン」「グルコノラクトン」

食品表示は上記の通りですが、「グルコノデルタラクトン」は「GDL」と略して呼称されることがあります。
※ 「GDL」という食品表示はできません

弊社商品のご紹介

弊社ではコスト競争力を有し品質の高い中国製品の販売をしております。

製品名 グルコノデルタラクトン KCグルコン
荷姿 25kg 1kg ×10
写真

特色のある特性から、多様な効果を表す「グルコノデルタラクトン」是非ご検討ください。

 

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