2021.04.14
着色料の基礎講座④~添加物製剤とは~
着色料をはじめ食品添加物の製品は単独の物質だけではなく複数の物質で構成されることが多いです。
このような複数の添加物からなる製品を「製剤」と呼びます。
今回のコラムでは「製剤」の定義や実例をご紹介します。
添加物製剤の定義
「製剤」とは本来の目的用途のために、使用上便利な様にその状態を変えたものを言います。
よって、添加物製剤とは添加物を他の添加物または食品と混合して、その添加物本来の効果(作用)を発現する目的で製造されたものであり、複数の添加物を含んでもよい事とされています。
主剤 | 食品に使用した場合、その成分による影響を使用した食品に及ぼす添加物 |
副剤 | 主剤および製剤の品質を安定化させるため・製剤の形態を形成させるため・主剤の機能を安定化させるために必要不可欠であり、最終食品に残存してもその機能を発揮する量より有意に少ない量の主剤以外の添加物 |
食品への表示の原則
添加物製剤を食品に使用した場合の表示方法の原則は下記の通りです。
● 製剤の成分のうちキャリーオーバーに該当するもので量が少なく、最終食品に対する効果のない添加物(副剤)については表示の必要がありません。 ● 製剤に配合される添加物は、その影響を最終食品に及ぼす添加物(主剤)のみを表示します。 ● 表示する添加物の順番は原則として添加物製剤全体の重量ではなく、主剤の重量を基に決めることになります。 ● キャリーオーバーに該当するもの(副剤)が特定原材料等に由来する場合は、アレルギー表示に関する免除規定は適用されません。 |
「アカキャベツ色素製剤」での食品への表示 このアカキャベツ色素製剤を最終食品に 1 kg 使用した場合、表示する添加物(アカキャベツ色素)の順を決定するための配合重量は、1 kgではなく、1 kg x 80% = 800 g を用いることとなります。
副剤の定義と分類
添加物製剤に配合される副剤の用途や種類には下記があります。
分類a.主剤及び製剤の品質を安定化させるために必要不可欠の添加物
□ 香料・着色料等の品質安定化のため微量配合される酸化防止剤
□ 香料等の保存・安定化のため微量配合される保存料
□ 製剤調製時の消泡のために微量配合される消泡剤
□ 色素の色の安定化のため配合される有機酸等
□ 酵素の安定化のため配合される有機酸・有機酸塩・無機塩・アミノ酸類・D-ソルビトール
□ 乳化製剤の安定化のため配合される酸類・保存料
□ 液体製剤の品質安定化のため配合されるエタノール
分類b.製剤の形態を形成させるために必要不可欠であり、かつ必要量以内で配合される添加物
分類c.主剤の機能を安定化させるための添加物(効果の保持・向上)
酸化防止剤・保存料等のシネルギスト(相乗効果や改善効果を及ぼす併用添加物)として配合される酸・塩類・アミノ酸類
着色料製剤の事例
添加物製剤のなかでも特に着色料製剤について、一般的な配合とその副剤の分類について例示します。
最終食品への添加物表示事例として、「トウガラシ色素」「パプリカ色素」など
最終食品への添加物表示事例として、「コチニール色素」「カルミン酸色素」など
最終食品への添加物表示事例として、「クチナシ黄色素、クチナシ青色素」「クチナシ色素」など
海外レギュレーション
添加物製剤の海外における使用可否について調査する際には主剤だけではなく、その製剤を構成する副剤についても調査が必要です。
ご相談やご質問がございましたらこちらからお気軽にお問い合わせください。
着色料の基礎講座①~なぜ着色料は使われるのか?~
着色料の基礎講座②~天然着色料とは~
着色料の基礎講座③~色価・色調~
着色料の基礎講座⑤~着色料の退色について~
着色料の基礎講座⑥~pHによる色の変化について~
着色料の基礎講座⑦~着色料の乳化について~
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この記事に関する品目
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パーム油カロチン
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マリーゴールド色素
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クチナシ黄色素
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クチナシ青色素,ラック色素
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