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2021.10.04

基礎講座

着色料の基礎講座⑦~着色料の乳化について~

着色料をご使用の際、下の写真のように着色料が商品の上部に浮いてきてしまったことや、商品フィルムに色がついてしまった経験はございませんか?実はこれらは「乳化」された着色料に特に見られる現象です。今回はどうしてこういった現象が生じてしまうのか、ご説明していきたいと思います。

着色料の溶解性

色素は主に水溶性と油溶性にわけることができ、それぞれ下記のように溶解出来るもの、出来ないものがあります。

このため、水溶性色素はチョコレートなどの油性食品には使用することが出来ませんし、逆に油溶性色素はゼリーなどの水性食品には使用することが出来ません。しかし、これらの色素を「乳化」することで溶解性を変化させることが可能です。こういった乳化された色素は「乳化色素」、「乳化色素製剤」と呼ばれます。

着色料の乳化とは

上の図のように、色素に対して乳化剤を混合し、色素を乳化剤で取り囲むように色素を「乳化」することで元々もつ溶解性を変化させたものが「乳化色素」です。

特に一般的な用途として油性のトウガラシ色素やカロチン色素を水溶性に乳化(O/W乳化)することで、ゼリーなどの水性食品にオレンジ色に着色する用途や、水溶性のアカビート色素やベニコウジ色素を油溶性に乳化(W/O乳化)することでチョコなどに赤色、ピンク色に着色する用途があります。

乳化色素のクリーミング現象、乳化崩壊とは?

熱、pH、塩などの影響で乳化色素の構造が変化し不安定化してしまうと、上図のようなクリーミング現象、乳化崩壊が生じてしまいます。その結果として商品の上部に集まった乳化色素や乳化崩壊した色素の油滴がフィルムや容器などに付いてしまいます。これらの乳化状態の悪化によって引き起こされる現象は製品外観に大きく影響するため、注意が必要です。

写真:乳化状態の悪化によりゼリーフィルムに付着したトウガラシ色素

高塩濃度や低pHでは特に乳化粒子が悪影響を受けやすいため、乳化色素製剤をご検討の際には加熱条件、塩濃度、pHをお教えいただくことで最適な製品選定が可能となります。お困りの際は是非お気軽にご相談ください。

乳化色素のラインナップについて

●W/O(油中水滴型)乳化色素

水溶性色素を油溶性に乳化した着色料製剤です。
用途:チョコレート、バタークリームなどの油性食品、細工蒲鉾(色流れが抑制)

色合い 製品名 色素名
赤色 KCレッド MO-52 ベニコウジ色素
ピンク色 KCレッド BO-5 アカビート色素
青色 KCブルー KO-10 クチナシ青色素
緑色 KCグリーン CO-57 ベニバナ黄色素・クチナシ青色素

●O/W(水中油滴型)乳化色素

油溶性色素を水溶性に乳化した着色料製剤です。
用途:ゼリー、プリン、冷菓、タレ、ソース、菓子・パンなど(油性品よりもハンドリングが良好)

色合い 製品名 色素名
黄色 KCイエロー GE-5 マリーゴールド色素
黄橙色 KCオレンジ BE-15S β-カロテン
黄橙色 KCオレンジ YE-3S パーム油カロテン
橙黄色 KCオレンジ GPE-2 トウガラシ色素・マリーゴールド色素
橙色 KCオレンジ PE-S トウガラシ色素

高安定乳化製剤

対酸・塩安定性の高い製剤です。
用途:ゼリー、タレ、ソースなど (製造条件の厳しい食品)

色合い 製品名 色素名
黄橙色 KCオレンジ YE-9 パーム油カロテン
橙色 KCオレンジ PE-AG トウガラシ色素

 

この他にも多数の製品ラインナップがございます。乳化色素でお困りの際は是非弊社にお声掛けください。

着色料の基礎講座①~なぜ着色料は使われるのか?~
着色料の基礎講座②~天然着色料とは~
着色料の基礎講座③~色価・色調~
着色料の基礎講座④~添加物製剤とは~
着色料の基礎講座⑤~着色料の退色について~
着色料の基礎講座⑥~pHによる色の変化について~

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