2021.02.24
着色料の基礎講座②~天然着色料とは~
天然着色料について法的な定義、規格基準、製法、分類をご紹介いたします。
天然着色料の定義とは
●天然添加物とは
1947年に制定された食品衛生法にて食品添加物は、リストにあるものしか使用できない「ポジティブリスト制度」が導入されました。このリストの対象は化学的合成品に限られており、天然抽出物も添加物として使用されていましたが、法律上明確な定義づけはありませんでした。リスト化された化学合成品と天然抽出物とを区別をするため、自然発生的に生まれた用語が「天然添加物」です。
1995年に食品衛生法の改正が行われ、添加物は天然・合成の区別なく規制されることとなりました。長年にわたり使用の実績があった「天然添加物」は1996年に告示された「既存添加物名簿」に収載され、基準化されることとなりました。
●天然着色料の定義
着色料については1981年に「天然着色料の使用基準」が設定され、「天然着色料」という基準が示されました。1995年にこれらの天然着色料も先に述べた「既存添加物名簿」と、「一般に食品として飲食に供されているものであって、食品添加物として使用される品目リスト」(通常食用に供するものを基原とするもの 例:アカキャベツ色素)に収載され、それぞれ「既存添加物」「一般飲食物添加物」と定義されました。
従って現在では「天然着色料」という基準はありませんが、「既存添加物」「一般飲食物添加物」の着色料が「いわゆる天然着色料」と表現されています。
天然着色料の規格基準
天然着色料はそれぞれ色素別に基原原料や主成分などが、成分規格として食品添加物公定書ないし、既存添加物自主規格において定められています。
●食品添加物公定書とは
食品衛生法の定めにより、厚生労働省より公表され、食品添加物の規格、基準が収載されています。1960年に第1版食品添加物公定書が公表され、改正が続けられています。既存添加物(いわゆる天然添加物)成分規格を充実すること、科学技術の進歩に伴う新たな試験法の収載等を行うこと、国際的な整合化を目的として2017年に第9版食品添加物公定書が公表されました。
●既存添加物自主規格とは
日本添加物協会より制定された自主規格で、既存添加物の成分規格等が定められています。食品添加物公定書改正に対応する形で見直しがされ、2008年に第4版既存添加物自主規格が公表されています。
第9版食品添加物公定書収載「アカキャベツ色素」成分規格
天然着色料の製法
天然着色料の製法は色素別に多様にありますが、主な工程として ①原料である天然物の機械的な圧搾・粉砕 ②主成分の溶解性に応じた溶媒による抽出 ③不純物を取り除く精製 によって各色素が得られます。一例として水溶性の色素であるアカキャベツ色素と油溶性のトウガラシ色素の一般的な製法は以下の通りです。
●アカキャベツ色素の製法
①原料アカキャベツの圧搾
↓ ②弱酸性水溶液による抽出 ↓ ③膜ろ過による精製 |
●トウガラシ色素の製法
①原料トウガラシの粉砕
↓ ②ヘキサンによる抽出 ↓ ③超臨界二酸化炭素抽出による分離・精製 |
天然着色料の分類
天然着色料の発色は共役系と呼ばれる基本構造によって大きく左右されます。下記は主だった天然着色料について、基本構造での分類と主成分、基原原料を一覧化したものです。
各色素の安定性等の詳細情報はこちらからお問い合わせください。
着色料の基礎講座①~なぜ着色料は使われるのか?~
着色料の基礎講座③~色価・色調~
着色料の基礎講座④~添加物製剤とは~
着色料の基礎講座⑤~着色料の退色について~
着色料の基礎講座⑥~pHによる色の変化について~
着色料の基礎講座⑦~着色料の乳化について~
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この記事に関する品目
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ベニバナ黄色素,クチナシ青色素
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リボフラビン
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パーム油カロチン
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クチナシ黄色素,クチナシ青色素
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